以前、犬を飼っていた時の話です。

犬は三毛犬(ミケイヌ)と言いますか、セントバーナードのような色合いの長毛の雑種で、大きさは柴犬くらいでした。

その犬とよく晴れた夏のある日、近所の山に登りました。
30分ほど山道を登ると、川幅が2メートルぐらいで深さが10㎝から40㎝ぐらいの小川がありました。
神戸の市街地を流れる何本かの川の内の一本の源流で、手ですくって飲めるほど澄み切った綺麗な水が流れていました。

その小川の上に、丸木を5本並べて何ヶ所かをロープで縛り、その上に板を打ち付けただけの簡単な橋が掛かっていました。
川面のすぐ上ぐらいのあまり高さのない橋で、それを渡ると、その先は20メートル四方ぐらいの平らな白っぽい砂地になっていて、知る人ぞ知る飯盒炊爨(はんごうすいさん)の穴場でした。

耳が痛いほどの蝉(せみ)しぐれと小川のせせらぎの中、犬を前にして、その橋を渡っていた時、渡り終える直前に私が犬を小川に蹴り落としました。
犬はあわてふためいて水の中でバシャバシャと暴れていましたが、すぐに足が立つことがわかると、私に向かって「ワンワンワンワンワン!ワンワンワンワンワン!」と吠えたてました。
全身びしょ濡れになって怒っているその姿がおかしくって可愛くって、私がゲラゲラと笑っていると、また「ワンワンワンワンワン!ワンワンワンワンワン!」と猛抗議をしてきました。
犬に人の言葉が話せたら、「なんてことをするんでか!お父さん!ひどいじゃないですか!あんまりです!」とか言ってたんだと思うんですが…。

そのあと、犬を砂地に上げて、「ごめん、ごめん」とあやまりながら、いつもよりたくさんおやつをあげて許してもらいました。





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