セーム皮というものをご存知でしょうか?

宝石貴金属の汚れを拭き取るのに使用するベージュ色のとても柔らかい皮で
宝石貴金属のほか、時計やメガネ、カメラのレンズなどの汚れを拭くのにも最高の素材だと言われています。

日本では一般的には鹿皮と表記されますが、鹿以外にも山羊の皮なども使用されているようです。
また現在、日本で販売されているものの大多数は中国製で、使われているのはキョンという小型の鹿の皮だそうです。

きめが細かく滑らかで真珠やオパールのような柔らかいものを拭く時には無くてはならないものです。
近年、セーム皮に代わるものとして、いろいろなメーカーからいろいろな種類の布が発売されていて、レンズ・クリーナーだけでなく、きめの細やかさを利用して石鹸の泡をつけて洗顔などにも使われています。
洗濯とかメンテナンスが簡単そうなので、私どもでも手に入る限りの布を試してみましたが、残念ながら宝石貴金属の汚れを拭き取る効果はセーム皮には遠く及びませんでした。


従来、セーム皮が汚れた場合は「中性洗剤で手洗いして、乾いたらアイロンをかけて伸ばす」というものでしたが、この場合、セーム皮がごわごわに硬くなって、一生懸命に手でもんでほぐす必要があり、それでも、なかなか元のように柔らかくはなりませんでした。

ということで…あるお客様から必殺技を教えていただきました。
それは! なんと!
「セーム皮を洗う時に柔軟剤をいれる」というもので、乾いたあと、とても柔らかく仕上がるそうです。
「リンスをするといい」というお客様もおられました。

ちなみにアイロンをかけなくても、洗ったあとで形が崩れない程度に絞って水気を切り、鏡かガラスに伸ばして貼り付けておくとそのままで平らに乾きます。
あとは四つ折りか六つ折りにして平らなところに置き、上に広辞苑か何かを乗せておけば型押しができます。


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セーム皮 150㎜ × 150㎜
写真のセーム皮は普段、私どもがお店で使用しているもので、上の方は六つ折りにして
あります。東急ハンズなどでも入手可能ですが、しわやムラの少ないものを選びましょう。


折りたたんだセーム皮の内側の面を手のひらや指で触らないようにしておくと、皮脂や汚れが付かず、いつまでも仕上げ拭き用にとっておけます。
私は過去に一度だけ、内側の面に砂粒かガラスの細粒の付いたセーム皮でメガネのレンズを拭き、レンズがキズだらけになてしまったことがあります。

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